MUKU-DATA  神代欅 柾目 床の間棚板用

今どこ?時間ある?と お付き合いのある建築家さんから電話をいただく。
あ、大丈夫ですよと。。
木材倉庫にある材を確認したいらしい。
建築関係に携わる人たち(勿論、木工、家具、その他もそうだが)は
時間に追われながら進行する現場を管理していることが殆どかと思う。
木材倉庫にいつでも見に来ていただけるように常駐スタッフをおければいいのだが
そんな余裕もなく、平日はご連絡をいただいてから時間を合わせ対応させていただいている。
なので、できるだけ時間のない中、足を運んで材を確認したいご要望には
応えられるように努めている。
何故なら、木は全てが違うから、まずは見ていただかないと・・
というのが毎日木を扱っていて思うからである。

毎朝新聞紙上に目にするOMO(オンラインとオフラインの融合)とか
今朝はステマ(ステルスマーケティング)法規制の記事、、
木、特に木材倉庫で扱う全て顔の違う個性のある木に当てはめて考えてみるが
一部は応用できたとしてどうもしっくりとはいかない。
「なんとなく」温もりのある木、「それっぽい」木っていうのが間違ってトレンドになれば
そういったマーケティング理論も成り立つのだろうなぁとは思うが。。。

そうは言ってもリアルな材木がどこにあるのか?というのは
やはり告知させていただかないと分かっていただけないので
SNSで木の事や時にくだらない関係のない事を書きこんでいる。
(もともとはブログを書き始めた理由は、材木屋として営業へ出かけ
今日はこの木の良さを大工さんに知ってもらおうと行くも、木の話には殆どならず
話したい事の1割も話さず仕舞いでフラストレーションのはけ口のような感じで
はじめたようなもの。
ツイッターは材木屋って何やっているのかきっと分からないんだろうな・・と
知ってもらおう程度が始まり)

今はO2O的にSNSを活用、、、というよりは好きな木のことをただ単に
材木屋目線で上げていただけなんだけど
結果それがきっかけで木材倉庫に足を運んでくださる方もいたりする。


話しがずれてしまったが、
木は写真だけじゃ分かり辛い、、現物を見ると随分と違う良い風味を感じさせてくれることが多いという事。
多少はマーケティング戦略ってのも必要なのかもしれないが
現物をみた時にそれ自体が「好きかどうか」「何かを感じるかどうか」
化粧をしていない裸の状態だから自分の好みっていうのがとても重要で、
何だかパートナーを選ぶ時のような直感とかリアルな人間力みたいなもので
決めていく事がいいのではなかろうか・・とも思う。

昨日の神代欅柾目の棚板の事でお話させていただくと
建築家さんはある程度、床の間廻りのイメージをもち図面を書き
それに見合った材のを数枚、一度木材倉庫の材を見ていただき候補を選択していた。
固まってきた図面を元に現物を横にしてサイズや見え方を再確認

Kさん「これどっちが手前だと良いと思う?」(多分答えを持って聞いている)

私「本来は耳の方が手前だけど、これ曲がり具合から、この場所で使うなら芯側を手前に持ってきた方が緩く窪んだ曲線の見え方がいいですよね・・」(素直な意見)

Kさん「やはりそうだよね」(販売する為に合わせた訳ではなく同意見)


Kさん「この見付の耳のボロボロの部分の処理、どうする?」(迷っている様子)

私「それはKさんの方が突拍子もない使い方、できるじゃないですか!」(過去に自分ではやらない仕上げにしたが、それがとても良かったのでKさんの仕上げに期待)


Kさん「2段つけようと考えていたが、ちょっと煩くなりそうだから1段にしておこうかな」(図面は2段書かれてあるが材の様子を見て臨機応変に判断している)

私「そうですね、そっちの方がスッキリして良いかもですね」(2枚使っていただきたいのはやまやまだが、見え方が悪くなると折角のこの木の効果も薄れるので自分が良いと思う方をいうようにしている。だから売り上げがあがらない・・😓)

そんな感じで製材したらこうなりますよと糸を張って
出来上がりの形を検討する。

和室の床の間廻り、この板の上には特別な木地で作られた雛人形が置かれるという。
材の格、置くものとの相性、設置する場所、和室の空間に取りつけられた時に
どう見えるのか・・?

例えばこんなところにギラギラのメイプル杢を入れても
蒐集した中での特別な木地で作られた雛人形は、ギラギラに持って行かれてしまいますもんね。。
材の選定も良く吟味検討されているなぁと思いました。

他にもまだ細かな検討箇所はあったのですが・・・
棚、一枚の話ですよ。

だから現物を見て感じて触れて、その一枚に魂を込めて選んでいただきたいなぁ
って思っています。
そうやって作られたものって何か違うんだと思います。

これ、何か違うんだよね・・って室内や作られたものってあるけど
きっとそんなエッセンスが沢山含まれているからだと思います。

「なんとなく・・」「それっぽい・・」は一時的にはヒットするかもですが、
「なんか違う・・」「なんだろう・・これは・・」って
言葉は似ているけどそこに本物が隠されているのかもしれません。

是非リアルを体感して選んでいただければと思います。